乳腺外科紹介
乳がんとは、乳房にある乳腺(母乳を作るところ)に発生する悪性腫瘍です。症状は、しこり、血性乳頭分泌、乳首の陥没、皮膚のくぼみ、痛み、わきの下のしこりなど実に様々です。しかし、乳房の変化に気づかずそのまま放置しておくと、乳腺の外にまでがん細胞が増殖し、血管やリンパ管を通って全身へと拡がってしまいます。
近年、乳がんの外科では、乳房温存手術を行うことが多くなり、乳がんの局所切除を完全なものとすることが重要となってきました。
乳がんの診断としては、単にがんか良性かの診断だけに留まらず、がんの拡がりの正確な診断、さらにどういう性格のどの程度の悪性度のがんであるかまでを見極めるよう努力しています。このために各種の診断法と生検法を駆使して温存手術の安全性を高めています。 手術についてはこの詳細な診断結果に基づいて安全、確実を目標に最適な手術法を選択しています。
また、最近の乳がん治療では、薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤)の重要性が高くなり、手術前治療を含め、手術後の補助薬物療法を一貫して行い、患者さんの状態に応じた外来ケアを行っています。当院は、乳腺外科を開設し、乳がんの早期発見・予防に努めています。
乳腺外科の対象疾患
取り扱う主な疾患
乳腺症、乳腺炎、乳がん、線維腺腫、葉状腫瘍等、乳腺外科疾患全般
医師紹介
近藤 亮一
職位
- 乳腺外科部長
略歴
-
1991年
日本医科大学 卒業
学会・専門医
- 日本乳癌学会乳腺専門医、指導医
- マンモグラフィ検診精度管理中央委員会A認定読影医
- 日本外科学会外科専門医
- 日本臨床外科学会評議委員
取り扱う疾患
症状からみた乳腺疾患
気になる症状である痛みやしこりなど、乳がん以外の病気について解説します。
乳房の痛み
乳房の痛みがあって来院される方で、マンモグラフィでも超音波検査でも異常を認めない場合、ほとんどは「乳腺症」という診断になります。「乳腺症」は、女性ホルモンの相対的な過剰によりおこるとされていますが、詳細にはわかっていません。 乳がんとの関係も取りざたされていますが、ほとんどの「乳腺症」は乳がんとは直接の関係はありません。定期的な検査は必要がなく、対象年齢の方は乳がん検診を受けていただくようにしています。
乳房の痛みは、経過をみているうちに改善することが多いですが、ふたたび繰り返すこともあります。タモキシフェンという乳がんの治療につかうお薬により痛みが改善することが知られていますが、保険に通っていないために使うことはできません。
乳腺症以外には、「乳腺炎」があります。「乳腺炎」は、皮膚が赤くなったり熱くなるという炎症反応を認めます。授乳に伴うものが多く、治療は抗生剤の服用ですが、うみがたまっていると切開が必要になる場合があります。
しこり
乳房のしこりには、「乳がん」「線維腺腫」「葉状腫瘍」「のう胞」「乳腺症」「脂肪腫」などがあります。
「線維腺腫」と「葉状腫瘍」:10~30歳代の方で最も多いのは、「線維腺腫」です。ほとんどは経過観察で良く、手術は必要ありませんが、どんどん大きくなるものに関しては、手術が必要になる場合があります。「葉状腫瘍」は、「線維腺腫」とよく似ていますが、大きくなる傾向があるので、手術が必要になることが多いです。
手術の方法ですが、「線維腺腫」は再発の危険性が低く、腫瘍だけを切除します。「葉状腫瘍」は、再発の危険性があるため、少し大きめに切除します。両者の鑑別(見分け)は病理検査で行いますが、しばしば鑑別は困難です。
「のう胞」:乳腺にできたふくろに液体がたまったものです。乳がんになることはなく、治療の必要はありません。大きくなり痛みが出ている場合には、液体を注射器で抜くことにより、痛みは改善します。ただ、再びたまることがあります。「のう胞」のなかに腫瘍ができることがあり、この場合には良性・悪性を診断するために切除が必要になることがあります。
「脂肪腫」:脂肪にできる腫瘍で、切除することで治ります。
乳頭からの分泌物
妊娠や授乳もしていないのに、乳頭から分泌液がでてくることがあります。これを「乳頭異常分泌」と呼びます。分泌液は無色透明、ミルク様、血液様などがあります。服用しているお薬のために乳頭から分泌液がでることがあるので、まずこれを確認します。
両側から多量に分泌液がでるときには、「脳下垂体腫瘍」というまれな病気が原因となっている場合があるため、検査を要します。これら以外は、しこりを触らない乳がんが原因のことがあるので、精密検査をお受けになることをおすすめします。
- 片側性
- 分泌液がひとつの乳管口からでる
- 血液の混じったような液である
場合には乳がんに注意が必要で、特に血液混じりの場合には、約30%が乳がんであるといわれています。
検査は、マンモグラフィ・超音波検査・分泌液の細胞診を行いますが、分泌液の細胞診にがん細胞をみとめることは、なかなかありません。超音波検査でしこりを認めた場合には、細胞診を行います。
乳がん以外には、「乳頭腫」という良性の腫瘍の場合があります。良性であると診断がついた場合には経過観察でよいとされていますが、実際に細胞診はおろか組織診でもがんと見分けることが難しいことから、当院ではMRIを行い悪性の可能性が否定できないときには、手術をおすすめすることが多いです。
手術は、「乳管腺葉区分切除術」といい、分泌物がでてくる乳管が分布する乳腺を部分的に切除する術式になります。一般には、乳腺全体の1/6くらいを切除するイメージで、乳房がひどく変形することはありません。皮膚の傷もあまり大きくなることはありません。手術の結果、「乳頭腫」であった場合には、これで治療は終了です。「乳がん」であった場合には、その性質やがんの広がりによっては再手術が必要になります。
治療方法
乳がんの手術
乳がんの手術には大きく2つの種類があります。それぞれの手術についてご説明します。
乳房の手術
乳がんは手術や放射線療法、薬物療法を組み合わせて治療していきます。どの治療法をどの順序で行うのかは、それぞれの方の診断の結果により異なります。 ひとくちに「乳がん」といっても、しこりの大きさや場所、ひろがりや数、閉経前か否かといったことで、治療の順序や方法が異なります。(きちんとした検査をうけて、あなたに必要な治療を受けていただくことが大切になるのです)乳がんの手術について考える時には、《乳房》の手術についてと、《わきのリンパ節》の手術について考える必要があります。以下、乳房の手術についてご説明します。乳がんの手術法は、大きく分けて乳房温存術と乳房切除術があります。
乳房温存術
乳房温存術は、乳腺部分切除と放射線治療がセットになった治療法です。乳房温存術を行うには、下表の要件を満たしているなどの条件があります。
- がんの大きさが3センチ以下
- 病巣が広がっていない
- 多発病巣がない
- 放射線照射が可能
- 患者さんが乳房の温存を希望
(日本乳癌学会のガイドラインより)
もちろん、乳房が大きい場合には、これよりもがんが大きくても温存手術が可能ですし、反対にいくらしこりが小さくても目に見えないがん細胞が広がっていたり、しこりが乳頭に近いために乳頭がゆがんだりしている場合には、乳房切除をした方がよい場合があります。
切除範囲
がんを切除すると一口でいいますが、どの程度切除する必要があるのでしょうか。がん細胞が手で触れる「しこり」の中だけに限られるのなら、「しこり」だけを切除すればよいのですが、そういうわけにはいかないのです。なぜなら、がん細胞は「しこり」の外まで顕微鏡でしか見えない広がりをもっている場合が、しばしばあるからです。そのため、手術では「しこり」の端から1~2cmほど離して、乳腺をくり抜く、もしくは扇状に切除します。
手術前の検査でこの広がりが明らかに広範囲にあって、温存術が適当でないと考えられる場合には、しこりが小さくても乳房切除をおすすめする場合があります。
手術の際に切除したしこりは、直接より詳細に検査を行うことができます。これは、切除したしこりを用いて、多数の標本を作って(具体的には切除したしこりを特殊な方法で固めてからうすくスライスします)、顕微鏡をもちいてがん細胞の広がりを検討するのです。これを、病理組織の結果といい、しこりの“ほんとうの正体”をあきらかにすることを意味します。病理組織結果が出るまでに1週間~1ヶ月程度かかります。がん細胞が手術前に考えていたよりも広い範囲にあった場合には、再手術(部分切除か乳房切除)が必要なことがあります。
再手術が必要になるかもしれないです、といわれると、「えー、温存手術を受けるの、どうしようかな」と思われるかもしれませんね。しかし、その可能性は5~10%くらいだと思います。この数字を反対側から見て考えてみると、90~95%の人は1回の手術ですむということなのです。
残念なことに、手術や治療に100%はありえません。すべての手術や治療には、「歓迎したくない可能性」があることは、抗うことの出来ない現実でしょう。ですから、《可能性》の数字のことにばかり気を取られると、あなたが希望する治療法をうけそこねてしまうかもしれません。治療や手術を選ぶのは、あなたなのです。もう一度冷静に、よく考えてみることが必要でしょう。
手術後の変形と形成手術
仮にあなたが、乳房温存術をうけることを選んだとしましょう。次に、手術後の乳房の形などがどうなるのかも気になることでしょう。手術後は、どのような乳房の形になるのかをあらかじめ示すことができればよいと思うのですが、現状では手術をしてみないとわかないところがあります。ただ、おおまかなところは、以下のとおりです。
手術時の切開創
傷が残ることはどうしても避けられません。
乳房のへこみ
ボリュームが減りますので、場合によってはへこみが目立つことがあります。
乳房の大きさ
切除した分だけ乳房のボリュームは減るので、当然小さくなります。切除する乳腺の量と乳房の大きさによって個人差がかなりあります。がんのできる場所によっても左右され、特に乳房の下の方のがんでは、変形が強くなるかもしれません。
温存手術後の形成手術
温存手術後に形成外科手術を行い、変形をやわらげることもできなくはないで すが、部分的に組織が欠損したところを補う良い方法が無いため、技術的に難しいとされています。無理をして乳房温存術を行うよりも、乳房切除術をした後で乳房再建術をした方が美容的には良好です。
術前化学療法
しこりが大きくても乳房温存手術を強く希望される方もおられることでしょう。この場合、手術前に抗がん剤(場合によってはホルモン剤)を使用して、しこりが小さくなった場合に温存手術ができ、これは標準治療の一つといえます。
乳房切除術
乳房切除が適応となるのは、がんが大きい・しこりが小さくてもがんが乳腺内に広がっている・がんが乳房内に複数個ある(多発している)などのために乳房温存術ができない方や、ご本人が乳房温存術を希望されない方、が乳房切除術の対象になります。
乳房切除術は、乳頭・乳輪をふくめて皮ふをぼうすい状に切開して、がんを含んだ乳腺すべてを切除します。皮ふをほとんど切除しない方法もあります。大胸筋・小胸筋といった胸の筋肉は切除する必要がない場合がほとんどなのですが、乳がんの進行具合により、切除しなければならない場合があります。小胸筋だけの切除なら、美容的に問題ないですが、大胸筋を切除した場合には、肋骨が目立つようになります。
リンパ節の手術
乳がんは手術や放射線療法、薬物療法を組み合わせて治療していきます。どの治療法をどの順序で行うのかは、それぞれの方の診断の結果により異なります。
ひとくちに「乳がん」といっても、しこりの大きさや場所、ひろがりや数、閉経前か否かといったことで、治療の順序や方法が異なります。(きちんとした検査をうけて、あなたに必要な治療を受けていただくことが大切になるのです)乳がんの手術について考える時には、《乳房》の手術についてと、《わきのリンパ節》の手術について考える必要があります。ここでは、わきのリンパ節の手術についてご説明します。
腋窩リンパ節郭清(えきかリンパせつかくせい)
がんの切除とともにわきのリンパ節を切除することを腋窩郭清といい、これが現在の「標準治療」となっています。わきのリンパ節を切除することは、リンパ節にがんの転移があった場合にがんを取り除くことはもちろんですが、切除したリンパ節への転移状況によって、手術後の再発予防に使う薬剤を決定することも大きな目的になります。
非浸潤がんといって転移する可能性がほとんど無いがんの場合には、腋窩郭清を行いません。高齢の方や合併症のある方などで手術後に抗がん剤を使用しない場合は、腋窩郭清を行わないことがあります。
重要なのは、転移のあったリンパ節の数
リンパ節切除についてのご説明をしますと、「いくつリンパ節を切除するのですか」と聞かれることもありますが、摘出するリンパ節の数が決まっているわけでありません。 鎖骨下静脈・広背筋・胸壁に囲まれた決められた範囲のわきの脂肪組織にうまっているリンパ節を、脂肪ごと切除するのです。そして、手術後にリンパ節を1個1個取り出して、がん細胞がいるかいないのか、がん細胞のいるリンパ節は何個あるのかを顕微鏡で詳しく調べます。なので、人によっては摘出したリンパ節が10個程度のこともあれば、30個以上のこともあります。 もうひとつのポイントは、重要なのは摘出したリンパ節の数でなく、転移のあったリンパ節の数だということです。
摘出したリンパ節の数とは関係なく、リンパ節転移のある人は、転移のない人と比べて、のちのち骨・肺・肝臓などに転移・再発してくる危険性が高くなること、転移しているリンパ節の数が多くなれば、その危険性はさらに高くなることがわかっています。
ですから、リンパ節の転移状況に応じた再発予防の治療が重要になってくるというわけです。
腋窩郭清による後遺症
以上に述べたように、リンパ節郭清は重要なのですが、約30%の人に腕のむくみ・痛み・しびれ感といったような後遺症が出てくるおそれがあり、これが大きな問題になります。この原因は、わきのリンパ節を切除する際に、細かい感覚神経・血管・リンパ管を切除せざるをえないためです
むくみはリハビリテーションによって改善しますが、重症化するとやっかいなので、予防(重いものを持たない・傷をつくらない・ひどい日焼けをしないなど)や早目の対策が重要です。
センチネルリンパ節生検とは?
手術前の診断でリンパ節転移が強く疑われる人にリンパ節郭清を行うのは、がんの取り残しをさけるためにもやむを得ません。リンパ節転移がない人には、後遺症を考えるとリンパ節の摘出をさけたいのですが、手術前に明らかなリンパ節転移を認めない人でも、手術をすると約3割の人に顕微鏡検査でリンパ節転移が見つかります。そのため、いままではすべての人にリンパ節の摘出を行っていました。
最近になって、がんの周囲に色素(簡単に言えば、色のついた水です)や放射性同位元素(アイソトープ)を注射すると、これらがリンパ管を通ってがん細胞が最初にたどり着くリンパ節である「センチネルリンパ節」に集まることがわかってきました。
そのため、センチネルリンパ節を1個から数個だけ摘出し、がんの転移を検索する、センチネルリンパ節生検という手法が盛んに研究されるようになりました。センチネルリンパ節にがん細胞がなければ、それ以外のリンパ節にも転移がないとみなして、リンパ節の摘出をしないことにより、わきのリンパ節を切除することに伴う後遺症をさけることができます。センチネルリンパ節にがん細胞を認めた場合には、腋窩リンパ節郭清を行うことになります。
センチネルリンパ節生検の正確性
センチネルリンパ節生検は、かなり正確な方法であることが、証明されてきています。ただ、この方法はあくまで検査なので、100%正しいということはありません。転移のあるリンパ節を見つけることができないために、転移がないと見誤ってしまうことがあります。この確率はだいたい5~10%と考えられています。
乳房の二期再建
乳がん術後の乳房の二期再建を保険診療で行えます。
乳房の二期再建の詳細
当院では、乳癌術後の患者さんに対し乳房の二期再建を保険診療で提供させて頂く準備が出来ております。
二期再健とは?
乳房再建術は大きく分類すると一期再建と二期再建に分けられます。一期再建とは乳がんの手術の際に同時に乳房を再建する方法です。二期再建は乳がんの手術後、期間をおいてから乳房を再建する方法です。一期再建は、患者さんのメリットとして、1度の手術で乳がん切除と再建が同時におこなえるという点があります。一方、二期再建は、乳がん手術を行った後、基本的には術後何年たってしまっても希望があれば手術が出来るというメリットがあります。そのため、乳がん治療後にゆっくり時間をかけ精神的にゆとりをもった状態で手術に望むことができます。
自家組織による再建
患者さん自身の体の一部の組織を胸に移植する方法です。患者さんご自身のほかの部分から、皮膚と脂肪と筋肉を移植します。大きく分けて「腹直筋皮弁」を用いた再建と「広背筋皮弁」を用いた再建、「遊離皮弁を用いる方法」と3つの方法があります。乳房を造るほど大きな組織は、ほかの部分から移植しても、血液のめぐりが不良だと、新しい場所にうまくくっつくことはありません。「腹直筋皮弁」も「広背筋皮弁」も筋皮弁という言葉がついていますが、この筋肉は移植した後に動かすことを目的にしたものではなく、この筋肉の中に血液が豊富に流れ、その上の脂肪や皮膚に十分な血のめぐりを送り届けるためのものです。
「腹直筋皮弁」と「広背筋皮弁」が多く使われている理由は、スポーツ選手や職業の問題がなければ、これらの筋肉を別のところに移しても日常生活には問題がないことと、十分な量の組織を移動させることができることによります。
- 腹直筋皮弁
腹直筋皮弁とは、いわゆる腹筋の片側を使って、下腹部の脂肪と皮膚を胸に移動させる方法です。上方に血管がつながった腹直筋に皮膚と脂肪をのせてみぞおちのところまで持ち上げ、胸の方へ反転して、筋肉と脂肪の厚みで乳房を再建する方法です。 - 背広筋皮弁
懸垂をするときなどに用いる背中の広い筋肉を用います。背中の皮膚は斜めに切り、まわりの脂肪も一緒につけて胸に持ってきます
- 遊離皮弁
腹直筋皮弁の筋肉をできるだけ犠牲にせず、皮膚や脂肪に分布している血管とその周囲の最小限の組織を顕微鏡を使って掘り進めて行き、つなぐ手術です。
保険診療での乳房再建
組織拡張器(エキスパンダー)とシリコンインプラントを移植する方法があります。これらの乳房再建手術は保険診療が適用されませんでしたが、保険診療の適用が可能となりました。
実績【2021年4月1日~2022年3月31日】
術式 | 件数 |
乳腺悪性腫瘍手術(乳癌)(乳房部分切除) | 27 |
乳腺悪性腫瘍手術(乳癌)(乳房切除) | 56 |
診療設備
マンモグラフィ装置
乳癌の早期発見のために人の乳房をX線撮影する手法で、そのためのX線撮影装置のことです。マンモグラフィの撮影、診断に関わる技師や医師は専門の教育訓練を受けた者が対応します。
マンモグラフィってなに
早期の乳がんも発見できる乳房X線撮影のことです。乳房は柔らかい組織でできているため、専用のX線撮影を使用しています。乳がんをはじめ、乳房にできる病気のほとんどを見つけることができ、しこりとして触れない、ごく早期の乳がんも発見できます(ただし、質の良い撮影と診断が行われても、10~15%の確立で発見に至らない場合もあります)。早期に発見し、治療した場合で、治癒率は約90%前後であり、最低でも10年の経過観察が必要です。通常の検査では、立体的な乳房全体が撮影フィルムの中にもれなく写し出されるように、一方の乳房に2方向撮影を行います。撮影時間は、更衣から撮影終了、フィルム確認までを含めて約20分~30分程度です。
検査は痛いと聞きますが?
立体的で厚い乳房を正しく撮影するために、圧迫する必要があります。マンモグラフィ撮影では、乳房を圧迫板ではさみます。これは、診断に必要な撮影を行うためにはとても重要なのです。乳房は立体的で厚みもあり、そのまま撮影すると乳腺や脂肪、血管などの重なりで、実際に腫瘍があっても写し出されないことがあります。また圧迫により、放射線の被爆量を少なくする効果もあるのです。正しく撮影するために、撮影技師がポジショニング(撮影機械に乳房を挟んで圧迫し、体位を取る) を行いますので、どうぞ、ご協力をお願いいたします。また、圧迫板は、一定以上の圧力はかからないように設計されていますので、ご安心ください。ただし、痛みが強い方、皮膚や乳房に炎症や外傷があり、圧迫できない方は、撮影を中止することがあります。
撮影された画像は、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会の認定医師2名によるダブルチェックにより、読影(判定)を行っているため、より質が高く、正確な診断が得られ、安心していただけます。まだ乳がん検診を受けたことのない方、最近検診を受けていない方、乳がんの疑いと不安をお持ちの方は、お早めに検査を受けることをお勧めします。
※?マンモグラフィ検査のお問合せ、検査をご希望の方は当院乳腺外科にてご相談ください。
乳腺超音波
腺用の超音波診断装置を用いて、しこり(腫瘤)の有無や良性か悪性かでは大きく吸収され、 水分の多い部分では吸収されにくいので、その差によってしこりの陰影像が描き出されます。
良性の乳腺症やしこりのようなものから、乳がんまで早期に発見することが出来ます。
認定施設
マンモグラフィ検診施設画像認定
小山記念病院は平成19年2月に「マンモグラフィ検診施設画像認定」を取得しました。
マンモグラフィ検診施設画像認定とは?
特定非営利活動法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(以下、精中委)が 厳しい評価基準のもと、以下の条件をすべて満たしている施設をマンモグラフィ検診施設として認定する制度です。
⇒マンモグラフィ検診精度管理中央委員会ホームページ
- 基準を満たしているマンモグラフィの撮影装置があること。
- 実際に撮影したマンモグラフィ画像が診断価値の高い画像であること。
- 撮影に要したX線の線量の評価が合格基準であること。
診療時間
診療日 | 受付開始 | 診療開始 | 受付終了 |
火(午前) | 8:00 | 8:30 | 11:30 |
木(第2・4) | 13:00 | 13:30 | 15:30 |
金(午前) | 8:00 | 8:30 | 11:30 |
土(第1・3) | 8:00 | 8:30 | 10:00 |
外来担当医
午前 | 午後 | |
月 | – | – |
火 | 近藤 | – |
水 | – | – |
木 | – | 近藤★1 |
金 | 近藤 | – |
土 | 近藤★2 | – |
★1 診察は2・4週の14:00~16:00のみとなります。
★2 診察は1・3週の8:30~10:00のみとなります。
初診の患者さんは紹介状をご持参ください。